Wednesday, September 22, 2010

22/09 米・ASEAN 連携加速 - 首脳会議共同声明案 経済・安保など広範に 南シナ海問題 中国をけん制

 【ハノイ=岩本陽一】米国と東南アジア諸国連合(ASEAN/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3EAE7E6E5E2E3E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=KN)が戦略的パートナーシップの構築に動き出す。24日にニューヨークで開く米ASEAN首脳会議で、経済や安全保障など幅広い分野の包括連携で合意する。「東アジア共同体」構想の推進で主導権を握るとともに、南シナ海の領有権問題で中国をけん制する狙いがある。ASEANは日中韓3カ国を軸に域外連携を進めてきたが、今後は米国の関与も受け入れ、東アジア全体の成長を目指す。



米国はオバマ政権になってASEANに急接近している(7月、ハノイのASEAN関連会議に出席したクリントン国務長官)=AP

 2回目となる今回の首脳会議で採択する共同声明の原案によると、米とASEANは「賢人会議」を活用して包括連携の中身を協議。2011年までに「具体的かつ実務的な提言」をまとめる。

 オバマ米大統領は来年からASEANと日中韓など16カ国で構成してきた東アジア首脳会議(サミット)に出席する方針。米国はASEANとの連携強化を足がかりに、東アジア共同体を巡る今後の議論で発言力を高める方針。今年から同サミットに加わる予定のロシアに対抗する狙いもある。

 共同声明案は包括連携の大枠について、投資・貿易の拡大、知的財産権の保護、科学技術分野での協力、エネルギー開発や食料安保での協調などを盛り込んだ。

 安保分野では中国やベトナム、フィリピンなどが争う南沙(スプラトリー)諸島と西沙(パラセル)諸島を中心とする南シナ海の領有権問題について「地域の平和と安定を重視する」との方針を強調。船舶の航行が妨げられるなどの事件が発生しないよう関係国に要請した。ベトナムでは中国によって漁船が拿捕(だほ)される事件が相次いでおり、間接的な表現ながら同海域で影響力を強める中国をけん制した。

 同問題を巡る共同声明案には当初、中国により厳しい内容が盛り込まれていたが、改訂版では削除された。経済面などでASEANは中国依存を強めており、関係悪化を懸念するASEANが米側に修正を要請したとみられる。一方、中国外務省の姜瑜副報道局長は21日の記者会見で「南シナ海に関係ない国家が南シナ海の争いに手を出すことに断固反対する」と述べ、関与を強める米への反発を改めて示した。

 11月に総選挙を実施するミャンマーには「国民和解に向け政治・経済の改革に期待する」と表記、軍事政権への厳しい批判は盛り込まなかった。

 米とASEANの首脳はシンガポールで昨年11月、初会合を開いた。米国は経済・産業分野での関係強化を狙って成長ペースの速いASEANに接近。ブッシュ政権時代に手薄になった東南アジア政策で巻き返しを進めている。米国は10月に第1回会合が予定されているASEAN拡大国防相会議にも参加する方針。ASEANへの関与を深め、軍備拡張を進める中国への警戒を強める戦略の一環とみられる。