Wednesday, June 8, 2011

2010年9月末に着任致しました谷﨑泰明のご挨拶


ご挨拶



9月末に着任致しました谷﨑泰明です。10月初めにチェット国家主席に信任状を提出し、正式に大使として活動を開始しました。宜しくお願いいたします。

私は、1975年に外務省に入省して以来、ウィーン、マニラ、モスクワ、ベルリンで勤務しましたので、欧州の経験が長いことになります。アジアとの係わりは、東京でインド、パキスタン等を担当する課長をしていたことと、フィリピンでの約3年の勤務です。 ベトナムには数回出張で来たことがありますが、かなり古い時代のことなので、今日とは状況がかなり違います。今は、住み始めて間もないので、何から何まで新鮮な気持ちで人々に接し、街並みを見ることができます。できれば、このまま子供のような目を持って暮らせれば良いのですが。 

大使として取り組みたいと考えていることは色々とありますが、煮詰めると、日本に対する“友人”を1人でも多く持つように努力することだと思っています。 幸い現在の日越関係は大変良い状態にあります。無論、問題もありますが、貿易・投資等の経済関係も順調ですし、日本はベトナムに対する最大の援助供与国です。政府対話、文化交流も進み、今やベトナムで日本語を勉強している人は、4万人を越え、日本への留学生数は、ASEAN諸国中最多です。
外交はよくガーデニングに譬えられます。美しい花々も、常に気を遣い手入れしなくては、長続きしない。枯れないようにするだけでなく、新しい花も育てることができると思います。花も大切ですが、それを育む土も重要です。土とは、この場合、両国間に流れる相互信頼です。この相互信頼は、長い時間をかけ、両国の様々な人々が築いてこられています。この関係を更に強化するためには、1人でも多くの友人を持つことだと考えています。

着任してから、一ヶ月半が瞬く間に過ぎてしまいました。 最初の大きな行事はタンロン建都千年祭への参加です。開会式、グエン・タン・ズン首相主催の晩餐会に参列しました。ホーチミン廟前で行われた式典では、ベトナム各職種代表のパレードが続きましたが、特に少数民族代表と海外ベトナム人(越僑者)代表の行進が印象に残りました。軍事色がここでは薄かったのは、建都記念という点とドイモイ政策による「経高軍低」を反映しているものなのでしょうか。ハノイ在住の邦人の方にも参加していただきましたが、長時間で、しかも10月初旬はかなり気温が高かったので大変厳しい状況であったと思います。ありがとうございました。路をまたぎ街路樹間に掛け られたイルミネーションの洪水は華やかで、特にホアン・ディェウ通りは、夜空から天の川が降ってきたかのような見事なもので感心しました。
そして次に大きな行事は、菅直人総理大臣のASEAN関連首脳会議等の出席及びベトナム公式訪問です。公式訪問では、日越首脳会談が行われ、共同声明も署名されました。両首脳は、日越関係を新しい段階に引き上げるということで合意しましたが、それにふさわしい、中身の濃い重要な会談であったと思います。

これについては、次回詳しくお話したいと思います。
                                                                 2010年10月
                                 在ベトナム日本国特命全権大使
                                         谷﨑 泰明

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