Thursday, October 6, 2011

06/10 TPP 参加が日本の成長に不可欠だ(10月6日付・読売社説)

日本の成長戦略を推し進めるため、政府は新たな自由貿易圏となる環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を早期に決断すべきだ。

「例外なき関税撤廃」を原則とするTPPの締結に向け、米国や豪州など9か国が、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)での大枠合意を目指している。

TPPの基本的枠組みが日本抜きで固まれば、将来、日本が参加する場合、不利なルールであっても受け入れざるを得なくなる。

経団連の米倉弘昌会長がAPECまでの参加表明を政府に促しているのは、そのためだ。


最大の問題は、農業である。

関税が段階的に下がることで、外国産品は競争力を増し、国内市場を席巻しかねない。全国農業協同組合中央会の万歳章会長は、野田首相に「TPPに参加すると日本農業は壊滅する」と訴えた。

だが、農業は担い手の高齢化が著しく、衰退する一方だ。このままでは展望が見えない。

TPP参加を機に、大胆な農業改革に踏み出して、自由化に耐えられるような強い農業への転換を進めなければならない。

民主党は、鉢呂吉雄・前経済産業相を座長とする、TPPに関するプロジェクトチームを設置した。遅きに失した感はあるが、議論を急いでもらいたい。

党内のTPP反対派の会合では、参加によって工業製品の規格や医療・医薬品などの規制緩和を迫られ、大打撃を被るのではないか、と警戒する声が相次いだ。

政府はそうした疑念を払拭し、TPP参加が日本にどのようなメリットをもたらすのかを明確に説明する必要がある。

気がかりなのは、政府・民主党内に「交渉に参加し、言い分が通らなければ離脱すれば良い」との「途中離脱論」があることだ。

反対派をなだめる方便だろう。だが、参加する前から離脱をちらつかせる国の言い分が、交渉の場で説得力を持つとは思えない。

民主党内には、アジア・太平洋地域の安定を図るという視点がないことも懸念材料である。

TPP参加によって、日本や東南アジア各国、豪州などは、米国を基軸に経済的な連携を強化できる。それは、膨張する中国をけん制することにもつながろう。

臨時国会では、TPP問題が論戦の焦点となる。自民党も意見を集約して臨むべきだ。

民主党内の論議と並行して、政府はTPP参加へ、閣内の意思統一を図ることが急務だ。

(2011年10月6日01時16分 読売新聞)

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